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<< ゴダールのリビング カジノロワイヤル / Sep.25th.2004 | main | ホーチミンのミラーボール >>
あらゆるものの中から、本質的なものを取り出したい [tomomi]
今回、写真展を行うtomomiへのロングインタビューです。


◆好きなもの

----好きな音楽やミュージシャンは?

tomomi ピアノの音が好き。具体的に何っていうのはなくて・・・ピアノが入っているのは何でも好き。オーケストラが入っているのはあまり好きじゃないかな。あとは普通にボサノバとかジャズとかでピアノが入っていたり、ジャズピアノとかすごく大好き。ビル・エヴァンスとかすごく大好き。あの暗い感じがたまらない。「ポートレイト・イン・ジャズ」とか。ああいうのはすごく好き。

----好きな映画や映画監督は?

tomomi すごく好きなのはゴダールの「気狂いピエロ」。

----色使いが鮮やかだよね。

tomomi そうなの。何回見ても。好きな映画は何回も何回も何回も見ても飽きない。ストーリーがあまり無いものの方が好きかも。

----ゴダールはみんなそんな感じだけどね。

tomomi そうなのそうなの。でも、あの頃のがいちばんわかりやすいかもね。だんだんわかりにくくなってくる。見に行っても眠っちゃう。

----眠るのが贅沢じゃない? お金払って見に行ってるのに寝ちゃうのが(笑)。

tomomi 確かに。それは言える(笑)。でも感覚的に楽しめるよね。ゴダールの映画って。そういうのが好き。

----好きな美術やアーティストは?

tomomi ジョージア・オキーフ、ロバート・メイプルソープ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、フィリッポ・リッヒ。でも、最近私の中では今井智己さん。あの人すごい好き。最近の中では他にはいない人。うまく言えないけど、例えば川内倫子さんとかは、はじめやっぱりすごい衝撃を受けたし、今でも好きだけど、川内さんや佐内正史さんみたいな写真が今はありふれちゃっているのね。でも、今井さんは初めて見たとき、全部に対してすごく美意識が強い人だなと思ったの。ファッション写真にしても隅から隅まで美意識が行き届いてる。たぶんこの人は写真じゃなくてもすごいんじゃないかな。写真から入った人じゃないと思う。絵を描いたりとかしていたんじゃないかな。あとクリムトとかすごい好きだし。マルセル・デュシャンもすごい好き。美術展に「泉」っていうトイレのオブジェを出して、美術展側から「こんなのダメだ」って撤収されちゃったダダイズムの人。新鮮ですごい好きだった。日本画だと小林古徑とか、喜多川歌麿とかも大好き。浮世絵すごい好きかも。あと、抽象画もすごい好きなの。リキテンシュタインはポップアートだけど、抽象画の流れがすごいあるような気がして。ジョージア・オキーフもやっぱり抽象画だし。モンドリアンとかも大好き。モネもすごい好き。モネは色がすごいきれいじゃない? あの色はすごい好き。普通にクリムトとかエゴンシーレとかも好きだし。あとちょっと退廃的な感じ。ビアズリーとかも好き。ビアズリーも線で描く人なんだけど、すごく退廃的な感じ。あのね、「サロメ」っていう戯曲あるじゃない? あれの挿絵を描いている人だから、見たことあると思うよ。岩波文庫とかの挿絵で出てるから。あと、写真で最近好きな人はベルナール・フォコン。その人も色がすごいきれいなの。マネキンに色を付けて、写真を撮っていて。子供がいっぱいいるのとか、草原のようなところで、草原が燃えているのとか。その人が設定を作ってから写真を撮っているから、写真なんだけど、ほんとにアートの方だよね。

----いろんな人知ってるね。

tomomi あんまり深くは知らないよ、あ、好きっていうだけで。基本的に私は情報を集めない人だから、音楽もそうなんだけど、あまり詳しくないっていうのはそこにあって、情報集めるの苦手だから、いろんなのを見に行ったりして、ひっかかった人だけ覚えているかんじかな。

----写真展ってよく行く?

tomomi 気になったものは行く。絵とかも。見に行くのは好きかも。

----どのくらいの頻度で?

tomomi 季節によるかな。夏が嫌いなのね。だから夏はなるべく行かなくて、これからの季節は行く。でも月に一回も行くかな。そんなに行かないかも。気になったら行く程度。

----好きなものがたくさんあるけど、好きになるのとそうでもないものの境目ってなんだろう?

tomomi わからないな。そういうのってある?

----僕は、映画とかに関して言えば、見たことが無いものが好きだな。はじめて見たものでも、何かあれっぽいな、とかいうのあるじゃん。そういうのがどれっぽくもないものを見るのが、僕は好き。

tomomi あ、それ言ったら私、逆かも。私は自分のひっかかるポイントが割と決まっていて、それにひっかかると、「あ、好き」ってなるかもしれない。色味とか。やわらかい感じのものよりは、硬い感じのものが好きなんだと思う。あと、そのときの自分の気分にもよるよね、自分の心境にもよるけど。あと、もう一つのポイントは、平面的なものがすごい好きなの。

----ああ、言われてみれば、この花の写真は遠近感がないね。

tomomi でしょ? 写真を撮る動機の中に、立体を平面にしたいっていう欲望がすごいあるの。撮ってて、すごいそれは意識する。だから平面的なものがすごい大好き。昔、西洋の絵画って遠近法だったじゃない。それをモネとかあのへんの人たちが浮世絵を見て、すごい衝撃を受けて、平面的なものを真似するじゃない? だからやっぱり遠近法に慣れちゃうと、平面的なものってすごいおもしろいんだと思うよ。マチスの絵とかもすごい平面的じゃん。マチスの絵もすごいすき。色も好きだし、四角の中にいかにその空間を溜め込むかとか、私もそういうのがおもしろいと思っているからすごい好き。

----好きなデザイナーは?

tomomi 去年くらいから、コム・デ・ギャルソンの服がすごい好き。川久保玲だっけ。好き、おもしろい。お店に行っても、なんか美術展に行っているみたいで、私はりついちゃって。あまりにおもしろすぎて、いろんなのをとっかえひっかえ見ちゃって。で、買ったのね。そのあと何ヶ月かして行ったら、お店の人に「田辺さんですよね」とか言われて(笑)、たぶん相当ねばって見てたのが印象に残ってたみたい。

----好きな本、著者は?

tomomi 詩で、藤富保男っていう人のが好き。この人も、現代詩手帖とかに載っているんだけど、この前見たら詩じゃなくて絵に変わってた。矢野顕子の昔のアルバムのなかで、この人の詩に曲をつけてたのね。すごいおもしろい詩なの。

----好きな場所は?

tomomi 高いところ。

----ああ、サイトの写真で、ビルの上の方で撮ったようなのがあったね。

tomomi 昔はそうやって撮ってた。とにかく高いところはものすごく大好き。

----今まで行った高いところで印象的だったところは?

tomomi 最近だと、六本木ヒルズの美術館あるじゃん。あそこの部屋の中に、カドがあって、下が見えないところがあるの。ぜひ行ってみて。カドにたーって走っていくと、おもしろいの(笑)。壁が一面ガラスで。


◆死の雰囲気

----高いところだと、建物じゃなくて、山とかはどうかな?

tomomi 私、自然にまったく興味がない人間なの(笑)。本当に、なんでだろうね。あ、でも海は好きかも。あまり緑が好きじゃないのかな。だけど、今井さんの写真を見たら、緑をあそこまで硬い感じに撮る人はいない、と思って感動したの。今井さんの撮った緑は、あ、こういう緑だったらすごく良い、と思った。はじめて、緑の写真をとってて、かっこいいと思えた。緑ってどうしてもどこかやわらかい感じになるよね。あれがどうしてもダメで。でも今井さんの緑はすごいシャープで冷たい感じなの。そう、何か冷たい感じのものが好きなの。

----ホームページの写真を見ていてもそう思う。ぞくぞくする。

tomomi そういうのが昔から好きなの。

----花ってわりとロマンチックなものじゃない、普通見ていると、ほんわりとした気分になるはずなんだけど、そういうの無いよね。

tomomi そう、そういう眼で見てないよね。こういう花の写真てよくトイレに飾ってある、カレンダーの写真になりがちだよね。でも私の写真はそうはならなくて。だから、そこの微妙な違いってあるよね。同じお花なのに、お花ってかわいくてきれいなものなのに。

----tomomiさんの写真の花は、かわいくないよね

tomomi そう、かわいくない。なんかね、人を拒絶しているでしょ、みんな。「何よ」ってかんじで(笑)。

----それが不思議なんだよね。花なのに。そのギャップがたぶんおもしろいんだと思うけど、花なのになんでこんな気持ち悪いんだろうって。

tomomi そう、花なのに気持ち悪いのは、どこかで私、たぶん、死みたいなものを感じるものが好きなんだと思うの。だから、きっと気持ち悪いんだよ、生き物を撮っているのに、何か雰囲気があるじゃない。死の雰囲気があるもの。やっぱりそういうのってどこかでエロスを感じるものだし、それって死と直結するから、その辺はたぶん、アラーキーの花の写真とかもそうだと思うのね。やっぱアラーキーの写真って死も感じるし、エロスも感じるじゃない。それってすごいなんか背中合わせで、たぶんそういうところを花から私は受け取っている気がする。すぐ散っちゃうから儚いとかいうことよりも、もっと深い意味かな。

----この前、tomomiさんの写真を友達に見せたら、見た途端に「うわ、エロッ!なんで花撮ってるだけなのにこんなエロいの?」って言ってた。

tomomi でしょ。あーでもそれうれしい。その人すごいうれしい、私はそういうのをねらっているし、そういうものを感じているから。その人すごい鋭いよ。その人女の子?男の子?

----男

tomomi へーすごい。

----そうだね、エロいから、死なんだろうね。ホラー映画も絶対エロいシーンと怖いシーンがセットで出てくるじゃない、すごく相性がいいんだろうね。

tomomi そう、それに、それって反対側にすると、結構大きなテーマになるんだよね。死があるってことは生きるってことじゃん。だから、やっぱりね、エロいってことはすごい大きいテーマなんだよ、絶対。たぶんこの写真は、だからかわいくないし、どこか気持ち悪い。それはたぶんそういうことかもね。

----どうしてエロくとれるんだろうね。こんな感じがエロいかなあーとか思いながら撮ってるの? 撮る時って、どんなこと考えてる?

tomomi 考えてはいないよね。撮らずにはいられない感じ、でも確かに自分の中で一番気持ちのいい場所を探しているとは思う。この中で、こうするとこれは違う、あ、これすごい気持ちいい、と思いながら撮っていると思う。写真撮る時ってそうじゃない、どういうふうに入れようかなって、でもそれは考えているっていうよりも、なんか自然にやってるかもしれない。自分がそのとき気持ちがいい。おいしいもの食べて、おいしいって思うのと同じ。とにかく気持ちがいいのそれが。

----その気持ちよさが写真を撮る動機付けになっているのかな

tomomi そうだね。だから何にも感じなければ、撮らないと思う。「写真やりたい」っていうのは特に無いから、なんか、よくいるじゃん、「写真やろう」と思ってやり始める人。そういう感じではないね。何も感じなくなったら何も撮らなくなると思う。わからないよね、先のことは、自分が何に反応するかわからないし、どう表現するかもわからない。

----その撮ったときの気持ちよさを、またできあがった写真を見直したときにも同じように感じる?

tomomi いや、そことはまた隔たりがあるかも。写真を撮り終わったあとは、こんどまた、データとしていっぱいできるわけじゃない。ピックアップするときに、また何かおもしろい感覚を味わうかも。撮った時の気持ちと、できあがったときの気持ちは違うね。撮ったときは、もっと衝動的に撮ってる。作品になっちゃうと、もうちょっと客観的に見るかも。


◆表現したいものがあれば

----今までの経歴は?

tomomi 一時期は、写真の学校に通っていたんだけど、そのときは課題も撮ったりしていたから、あまりおもしろくなくなっちゃって。気持ちが離れていっちゃったのね。それからしばらくは、普通に生活をして、でも写真を撮ってはいたんだよね。写真って撮っただけだと、撮りっぱなしでみんな終わらない? そんな感じだったんだよね。それをちゃんとまとめはじめたのは、本当に最近のできごと。

----写真の学校って専門学校?

tomomi うん

----2年間くらい?

tomomi そう、二年間行ったのよ。お金の無駄だった(笑)。

----そんなことはないんじゃない(笑)。今こうやって写真とっているんだし。

tomomi だってそのときやったこと、何にも役に立ってないもの。

----その写真の学校に通おうと思ったきっかけは?

tomomi きっかけはその前に、写真を撮って、みんなで展示をちょっとしていて。それがきっかけかな。

----そのときわりと、自分なりによく撮れた手ごたえがあったんだ?

tomomi うん。うんって(笑)。即答しちゃったけど(笑)。でも、そのとき撮ったものと、今撮ってるものとは、ぜんぜん進歩してないのね。変わってない。だから、そうだね、そのころに撮って、飾ったりしてて、でも技術とかないし、技術でも勉強したいなと思って、写真を勉強したんだけど、学校いっちゃったら、あまりにもつまらなくて、やらなくなっちゃった。

----そういう型にはまっちゃうとつまらないんだろうね。

tomomi そうね。

----でも、技術を身に付けるとなるとやっぱり学校行くことになるのかな。さっき、今はもうちょっと技術を身に付けないとって言ってたじゃない? そういう技術を身に付けるとなると、学校通ったりとか、プロのアシスタントをするとか、になるのかな。

tomomi ねえ、そうなんだろうけどね。でもなんか、私の場合だと、こう表現したいっていうものがあれば、たぶん技術ってついてくるような気もしない? 例えば私パソコンすごい苦手で何にもできないけど、でも、最低限のことはやるわけじゃん。こう、もうちょっとこういう風にしたいな、と思って。だから技術は大切だけど、それよりもやりたい気持ちがあれば、技術はついてくるかも、って勝手に思っているんだけど。

----そうだね、そういうものかもね。

tomomi 表現したいものがあれば、人ってやるじゃん。そうだよね。

----大学は?

tomomi 私、日本文学だった。高校も大学も仙台。

----いつ東京に出てきたの?

tomomi 写真の学校に通う時、写真の学校を探したら、その頃、東京と大阪にしかなくて。もともとカメラマンになりたかったわけじゃなくて、その頃はあまりに夢が大きすぎて、本当に写真作家になりたかったの。だからアシスタントとかになりたいとは思っていなくて。体力ないから荷物運びとかできないし、とにかく作品を撮る人になりたかったの。それで写真の学校に行ったはいいんだけど、ぜんぜんやらなかった(笑)。

----写真の学校は、とりあえず出て、その後は?

tomomi あと詩人になりたいと思ってて、詩も書いてた。でも何をやってもあまり続かない(笑)。でもこれからそっちにいくかもね、わかんないけど。

----でもこうページの片側に写真があって、隣のページに2,3行の言葉があるとなかなか感じのいい写真集になるかもね。

tomomi 別の人にも同じことを言われた。言われたんだけど、でも自分はね、それはなんか抵抗があるの。そういうのがいいのかな?

----まあ、変に文字情報があると、イメージを縛られちゃうからよくないかもね。

tomomi そう、それがいやなのね。あと私オブジェも作ってるじゃん。オブジェもぜひ見てもらいたかった。

----どんなの出したの?

tomomi すごい、かわいいよ(笑)。透明なんだけど、透明な中に、いっぱい泡が立ってて、それが鎖で綴じてあるっていうオブジェなんだけど。もともとどこかに、根本に作りたい気持ちがあると、言葉にいくか、写真にいくか、たまにカタチにしたいときもあるから、そういうときはオブジェを作るね。でもまだ2個しか作ってないから。でもふとなんか、あ、これってこのカタチ、って出てくる時がある。そういうのってあるよね。だから自分がどういう方向に行くかっていうのは自分でもわからなくて、そういうのって、あるじゃん、どの表現を選ぶかっていうのは、基本に出てくるものがあると、あるよね、写真でもいいし、なんでもいいから、とにかく湧き出てくるものを何かで出さなきゃって、そういうのあるよね。ためておくとよくないっていうか。


◆デジカメが出たから

----写真集はこれ(デジカメスタイル)がはじめて? 

tomomi もちろん

----展示会とかは?

tomomi 去年グループ展を一回。それもね、友達が絵を出すと言って、あと1人足りないから何か出さない?って言われて、うん、て即答して。ほんとに、はじめてデジカメを買った直後だね。去年(2003年)の、春になる前に買ったのね。それで5月くらいに、展示があったから、そのときはデジカメで撮ったのだけ出した。

----その時買ったのが今のカメラ?

tomomi そう

----いきなりちょっと特殊なのを買ったね。

tomomi そうかな? これ特殊?

----デジカメってIXYとかFinePixとか、そういう小さめのをエントリー機種って感じで買っちゃいそうだけど、それわりと見た目がごついじゃない。

tomomi ああ、なるほど、それはたぶんね、やっぱり過去に写真学校に通ってたから、持ち手がしっかり持てないとブレるとか、そういう微妙なことを知っていたからだと思う(笑)。だからこんな薄っぺらだと、撮りにくいよね。

----持ちやすさで選ぶんだ。

tomomi だってさ、こういう花の写真撮るのって、めちゃくちゃ固まって撮ってるもん。別にライトとか当てて撮ってるわけじゃないから。こういう薄っぺらいのだと、特に私、接写が好きだから、接写のときってほとんど体中固まったような感じで撮っているのね。室内でとることもあるし。絞ると光が必要なんだけど、接写だとさらに光が必要だから、シャッター開けたままずっとじっとしていないといけないんだよね。だから私、結構無理な技をやってるなって自分でも思う。すごい自然光がバッとあたっているときだったらまだましなんだけど、それでも、結構近づくときついね。60分の1でも結構ギリギリなんだよ。普通はライトとかちゃんとやるんだろうけど、私は道端の花とか撮るから。ほとんど道端かな。ちゃんとセッティングして撮ったのは一枚もない。全部歩きながら、あっと思って撮ったものばかり。これも室内で撮ったんだけど、友達の誕生日プレゼントに花束を買ってそれを撮って。そのわりにはこういうところがちゃんと写っていたからうれしいよね。この気持ち悪い血管みたいなやつも。

----「気持ち悪い」ってホメ言葉で使ってるよね(笑)。

tomomi 私の中で? あ、そうかもしれない(笑)。

----でもね、わかる気がする。僕も気持ち悪い映画とか気持ち悪い音楽とか好き。

tomomi 気づかなかった。

----このカメラを買うときから、撮るなら接写で、というのは考えていたの?

tomomi そうかもね、ずっと昔一眼レフでマクロレンズを買ったのね。でも、それだと、1センチまでは近づけなかったし、すごく高いのよ。高級なのと、安いのがあって、中間のを買ったら、レンズがすごく暗いのね。だから、そのころもお花の写真とか撮ってたんだけど、そのときは、家の中でちゃんとライトをあてて、撮ってたの。だから、ここまで接写できるっていうのが私にはすごいうれしかった。デジカメが出たからかな、こんなに手軽にライトとかあてないで、写真がとれるなんてびっくりした。

----デジカメあってこそ撮れる写真なんだね。

tomomi うん、もっと上手な人だと、一眼レフでも取れるんだろうけどね。でもよくライトとかあてて、水滴とか垂らして、今の「コマーシャルフォト」とかの表紙もお花のトップの写真なんだけど、ああいうふうに人工的にやっちゃうのもいいかもしれないけど、なんか普通に撮ってこれだけ写るならこれで十分なんじゃないかな。たぶん、要するに、どう写っても、さっき言ったテーマが写ればいいのかもね。硬くて、平面で、死を感じる、そういうもの。そういうものが写っていれば、花じゃなくてもいいし、建物とか、その中から、そういうものを感じ取って、そういう作品を作りたいっていう意識があるんだと思う。

----それが永遠のテーマなんだ?

tomomi 現在のテーマではあるけど、永遠かどうかはわからない。

----こう、道歩いていて、あ、あの中に! とか思うの?

tomomi 感覚的にハッと思う。撮っているときはそんなに考えていないかも。きっともっと単純に惹かれたもので撮ってて、構成するときにそれを考えるのかも。撮った写真をこうページで作るじゃない、そのときどう並べるかで、いかにそういう雰囲気を出すのかを考えるかもしれない。どのお花の写真を選ぶか、で。同じお花でも、5枚くらい撮っているのね。その中で、自分が表現したいものにどれが一番近いかを選び取るのね。考えるわけじゃないけど、並べてみて、これは違う、とか、これはそうだとか、それはなんかそんな意識しているものとか言葉にしているものとはちょっと違うんだけど、そういうのってあるよね。もっと無意識的だよ。やってることはすべて。

----だいたいいつも5枚くらい撮ってるの?

tomomi そう撮る時に、すごい衝動が強いから、気がおさまるまで撮るって感じかな。なんか変態だよね(笑)。たまに人が見てたりするとさ、あ、恥ずかしいとか、変な奴だと思われるとか、そういう意識が多少頭の片隅にあるんだけど、もうフツフツと撮りたい撮りたいと思っちゃって。微妙な気持ちになる。私ね、デジカメは自分の性に合ってると思うよ。撮ってすぐにその場で確認できるから。普通に一眼レフで撮ってる人も、ポラで同時で撮って写り具合を確認したりするじゃない。それが普通に同時にできるのってすごいよね。私めんどくさがりやだから、デジカメが向いていると思う。


◆結果としてそうなった

----今までわりと、花と風景が多いけれど、これから人を撮ったりもする?

tomomi うん。

----人のどこを撮る? ホームページに、注射を打ってる手の写真があって、すごく気持ち悪かったんだけど。

tomomi そうね、どこかね、無機的なものの中に、ああいう生々しい物って入れたいじゃん。生っぽいもの。食べ物も生っぽいから撮るし、人の肌も生っぽいじゃん。そういうふうに素材として撮りたいのもあるけど、人を撮るとなるとまた少し違うかな。人は、単純に今までは興味がなかったけど、撮ったらおもしろいかなって何となく思ってる。どういう風にできるかはわからない。

----身体のどこかを接写する?

tomomi んー、たぶんそうじゃなくて、やっぱりその、お花を撮るのと似ているかも。このひとつひとつのお花って、ひとりひとりのお花って感じがするから、私の中で。部分的に素材として生っぽいものをいれるっていう取り方もやってみたいけど、このお花みたいに、ひとりひとりみたいなのも撮ってみたいかも。このお花ってひとりひとりのお花っていう感じがあるのね、私の中では。

----うん、なんかそれぞれ何かを訴えてそうな感じはする。

tomomi そうそう、この子、あの子みたいな感じなのね、私の中では。だから、なんかそういう感じで人を撮りたい。撮ったらすごい難しいんだろうけどね。いつも何個か同じお花があるのよ、でも私はその中から、お花のモデルを選ぶの。道とかにあるじゃん、そのなかで、どの子がかわいいか見るのよね。お気に入りを。

----写真を仕事にしようとは思わないの? 頼まれてモデルさんを撮ったりとか。

tomomi 頼まれたらやると思う。でも仕事が目的というよりは、自分が撮りたい気持ちのほうが一番先かな。今はそんな技術も無いしね。

----そこそこ有名な写真家って、自分の写真集も出すけど、ふだんは雑誌とかに撮ってる人がほとんどじゃん。

tomomi やっぱりそういう形になるよね。ちゃんと写真家として食べていこうと思うと。

----そういうの目指してる?

tomomi うーん、そういうのって私の今までの経験から言って、目指すというより、結果としてそうなってた、ということの方が多いから。だから、目指すとかいう気持ちはない。いちばんこだわっているのは、自分が自分の中で、あ、これはいいな、と思える写真をいっぱい撮りたいっていうのが大きいかな。だから、それはもちろん多くの人に見てもらいたいし、そういう気持ちはもちろんあるから、こういう写真集とか、強いて言えば、ちゃんと自分ひとりの写真集は出したいと思ってる。

----来年予定している展示会はどんなのにするつもり?

tomomi 来年はとりあえず、いまホームページでやってる風景みたいなのをやろうと思っていて、たぶん、今撮ってる延長を、もっと枚数を増やして、やる感じ。どんな風になるのか楽しみ。

----そのときいっしょに写真集出せるといいね。

tomomi それは無理でしょう。無名だし、お金も無いし。とりあえず、3年後くらいにできるといいけどね。デジカメを買う前に、写真集を一冊出したいというのは、あったかも。だから、そしたらたまたまこうして本に取り上げられたから、「あら」ってびっくりしちゃった(笑)。

----結果的にこうなった(笑)。

tomomi うん、ぜんぜん売り込んだわけでもないし。

----でもすごいよね、こんな、ちゃんと書店に並んで。

tomomi たぶんすごいラッキーだったんだと思う。私、無名だし、売り込んでもいないし、このときはホームページすらなかったんだから。


◆瞬間的に感じる感覚

----撮ってる時に、撮ったものが人に見られるときのことを考えてる?

tomomi 考えてない。

----まったく自分の内面からできあがっている?

tomomi そうね、それで、私はすごくそれにこだわっているかも。抽象画が好きなことにつながると思う。一番中心にあるものをそのまま出したいっていうのがあるから、そこにすごく忠実でいようと思っているんだけど。でもそういうのって、意外とだんだんぶれてくるものだと思うのね。人って結構できなくなってくることや、わからなくなってくることって、写真とか表現に限らず、そういうことって無い?

----どういうこと?

tomomi 私が信じていることって、瞬間的に感じる感覚がすごい大切なのね。はっと見たり、はっと何かを感じるのってすごく大切で、そこから、いろんなこと考えたり、いろんな人と接したりする中で、それが違ってたのかな、と思うことも大切なんだけど、でもそういうのを混ぜながらも、一番最初にこれだって思ったところから離れたくないの。その時自分が、あ、これって何か、心地いい、気持ちいいって感じたのって、理屈じゃないじゃん。だからすごくそこにはこだわってて、だから常に余計なものとかを除いた状態にしていたい。だから抽象画が好きなんだと思うのね。そういうのは、何に関してもそうかも。たとえばチョコレートもカカオが90%とかのものが好きだし、そういうのにいろいろつけたり混ぜたりするのもいいけど、そういうのより、純度の高いものの方がすごく大事なのよね。さっきも言ってたけど、今後どうなりたいのって言われたときにも、常に、自分が何かを感じ取ることが大切だから。何も感じなくなってまで写真をやる意味ってないじゃん。だから感じる瞬間の衝動を大切にするというのは私の中ではすごい大事なこと。感動してないのに、無理に何か作ったりとかそういうのは別にしなくてもいいかな。

----感動してないのに、いい作品は作れないね。

tomomi いや、作れるかもしれない。作れるんじゃないかな、器用だったら。たぶん作れると思うのね。でも、それは、そこを目指したくはないと思う。テクニックや器用さは、あったらあったでいいと思うんだけど、撮りたいっていう気持ちとか、衝動とかが一番大事で、仕事だと、撮らなきゃってなってくると思うのね、そうなりたくない。単純でいたい。単純で理由とか無くて、アートって、役に立たないじゃん。アートのいいところって役に立たないものが、すごいいいねとかいって鑑賞されたりとか、誰かの心を動かしたりするところだと思うのね。それってすごい希少価値だと思わない? 役に立たないし、意味も無いのに、感動したりするじゃない。そういう感動するのって本能的なものじゃない。それは頭で考えたりとかいろいろどうにでも変えることができるけど、本能的にきれいとか、感動するとか、作品を作りたいっていう衝動とか、そこをずっと見てたい。そこから軌道をはずしたくない。純粋に作品を撮って、できあがって、っていう流れができれば、自分にとっては一番うれしいことなのね。だからそれが続けられたらすごく楽しいだろうなって思う。普通に仕事とかしてても全く生活能力とか、頭がないじゃない、パソコンできないし、普通に日常生活やってても、計算苦手だし、頭使うことが全然苦手なの。それなのに、写真とかそういうのがいらないわけじゃないけど、ちょっとで済むじゃない。そこがすごくいいと思うのね。


◆抽象

----19世紀末に抽象画が出てきたのって、その頃写真が発明されたからなんだって。それまで絵画の役割は、いかに現実を忠実に描写して再現するかがポイントで、写実主義とか遠近法とかが発達してきたんだけど、そういうのって写真の登場によって、写真の方が簡単に実現できてしまうことがわかっちゃったから、そういった形での絵画の存在意義は無くなっちゃったのね。で、じゃあ、どういうところだったら絵画が絵画たりえるんだろうっていうところで、抽象画が生まれてきたらしいんだ。絵画と写真の関係って、そういうところから派生してきたものだと思うんだけど、tomomiさんがはじめから抽象的なものを写真に撮ろうとしているのは、抽象画が絵画たりえた領域を写真の側から侵食していることになるんだろうね。位置づけとしてはそんな感じになるのかな。

tomomi あらゆるものの中から、本質的なもの、純粋なものを取り出したいんだよね。本質的なものが好きなの。数式とか公式とかって本質を忠実に、余計なものを削ぎ落として表したものじゃない。道端の花にでも何にでも、本質的なものが隠されていると思うのね、でも、それは見る人によってちがうの。そんな中で、私はこれに対して、これが本質、と思ったものを抜き出したい。

----20世紀末、90年代は編集文化の時代で、アーカイブとか複雑系とか流行って、情報が多いものほどもてはやされたような風潮があったと思うんだ。できるだけ多様な要素を取り込みまとめ上げるスキルや雰囲気によって、文化ができあがっていて、DJとかもそういう流れから出てきたものだと思うんだけど、そういう流れが21世紀になってからひと段落して、今は余計なものを削ぎ落とした、シンプルなものが求められている時代なんだろうね。余計な情報は削ぎ落として、存在の基本的なところを抽出するっていう方向に動いているんじゃないかな。そういう視点からすると、tomomiさんの写真は現代っていう時代にキャッチアップしているコンテンポラリーな作品て言えるかもね。まとめると、そんな感じかな(笑)。

(2004年8月24日、銀座ウエストにて。聞き手:知識)



◆tomomi/Photograph 写真家。身近な花や風景を切り撮り、日常の中に存在する驚くほど濃密で美しくも恍惚な世界を提示する注目のアーティスト。オフィシャル・ポートフォリオ・サイトはこちら



2004年6月から8月にかけてGallery ART SPACE(東京)およびギャラリーそわか(京都)で行われた通産11回目の国内最大規模のアーティストブックのグループ展[THE LIBRARY 2004] には昨年に引き続いてオブジェを出展。

2004年6月に常盤響、JUN、plan-d、中村豊美とのコラボレーションにより、オムニバス写真集「デジカメ・スタイル」を河出書房新社より発売(2004年8月現在、下北沢のヴィレッジ・ヴァンガードにも平積み!)。



ご購入はこちら(amazon.co.jp)から
*当日会場での販売もあります

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