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interview of positive noise on the bass line
POSITIVE NOISE ON THE BASS LINE
tungsten fuse PUREJAM.records (2005-07-20)売り上げランキング: 519829


タングステン・ヒューズの1stアルバムについてのインタビューです。

-----
思いつくままにしゃべり続けろ [タングステン・ヒューズ]

◆何かおもしろいことをやってみましょう

----二人の出会いは、どんな感じだったんですか?

西垣 学生が終わって初めて就職した会社で入社日が一緒だったんです。そのとき採用されたのが二人だけで、二人一緒に入って、まあ、結果的には一緒の日に辞めたんですけど。

----同期って二人だけなの?

西垣 二人だけです。映像や音楽を扱う小さい会社で。藤原くんは音楽の専門学校に行っていたし、僕は一応映画の学校に行っていたので、ちょっとかじっているとこもあって。縁があったんですね。

藤原 そこで、同じものを見て、聞いて、

----はじめて会ったときから、こいつには通じるものがある、とか思いました?

西垣 とりあえず、洋服の感じが似てるなっていうのはありましたね。

藤原 服の話は合いましたね。やたらと。

西垣 初対面の時も同じような格好してたし。セルの黒ぶちメガネかけてて、ジーンズにジャケットっていうスタイルが非常に似ていました。で、まあ、会社が基本的におもしろくなくなっちゃって。下請けみたいな仕事しかしない会社だったので、このままじゃいかんな、と。

藤原 一念発起して。

西垣 ちょうど会って1年くらいしてから、「何かおもしろいことをやってみましょう」って僕から誘いしまして。

藤原 でも初めは何をすればいいかわからなくて、最初は、映像と音楽を合わせた何かをやろうかと。

西垣 そう、最初は藤原くんが曲を作って、それに僕が映像をつけて、そういう二人組でやっていこうっていう話だったんですけど。

藤原 で、ある日、西垣くんが、「三島由紀夫を朗読するから、そのバックに曲をつけて」って言ってきて。

西垣 三島由紀夫が切腹する直前に読んだ檄文を、僕が絶叫するので、そこにトラックをつけて、おもしろい曲を作ろうかなんて考えて。で、結局、話が変わっていって、三島由紀夫の演説ではなくて、僕が適当に思いついたことをしゃべるっていうことになりました。「切腹女子高生」っていう曲を最初に録ったんです。それは今とは全然違いますよね。

藤原 全然違うね。もっと刺々しい。

西垣 ジャズでしたよね。基本的には、ジャズに合わせて僕がぼそぼそしゃべる感じで。それを録って、絶叫して、おもしろかったので、どんどん録っていこう、と。

藤原 で、僕もトラックを普通の曲っぽく。展開も普通のロックではないけれど、それっぽい感じにしていきました。

西垣 そのあとしばらくしてから、「東京パルチザン」という曲ができて。パルチザンてゲリラのことなんですよ。音楽ゲリラ。「東京で音楽を使ってゲリラ的な活動を行い、あなたの隣にも過激派がひそんでいますよ」的な感じで。その曲のおかげで、旋律に乗っけて言葉をまくしたてるようなスタイルができて。そのあとすごいペースで作りましたよね、曲を。

藤原 2003年の秋くらいは、曲を作りまくっていて。

西垣 結局、その年の秋に、会社の方を二人して同じ日に辞めまして。で、スタジオに入り浸って、月に2曲くらいのペースで曲を作っていきました。

----曲を作る時はだいたい藤原くんが中心ですか。

藤原 僕が家でMTRをずっと流しっぱなしにして、ギターとか弾いて、めぼしいところだけ切ってデモを作ります。それを持って1回ミーティングして西垣くんに聞かせて、それ聞いた西垣くんが歌詞をあてはめて作ってくると。そのスタイルは今でもやっているものです。最近またちょっと変化が現れてきたんですけど。

西垣 トラックをもらって、僕が書いてって、翌週に録る、と。そういう感じです。

----西垣くんは楽器はやらないの?

西垣 やらないですね。歌うのと詞をつけるのだけです。

藤原 そこは完全に分業していて。

----でもパートたくさんあるじゃない、ベースとドラムとキーボードと。全部1人でやってるんだ?

藤原 全部やってます。最初、ドラムトラックを作って、それに合わせてベースを弾いて。ベースがだいたいできたな、と思ったらギターをかぶせて。キーボードとかそういうのは、声を入れたあとに入れて、西垣くんを驚かせると(笑)。これはナシかな、と言われたら、まあ消すけど。

西垣 曲自体ボツになったのも何曲かあるんですけど。歌詞書いて、しっかり録って、しっかり作り上げたんだけど、二人して、これはナシだろう、ていう曲がいくつかありましたね。

藤原 数曲ありますね。

西垣 最近も一曲ありましたね。大作が。

藤原 もったいなかったね(笑)

西垣 僕は藤原くんのファンなので、新曲のトラックをもらうのをいつも楽しみにしている。

----そういうのが毎週あると、連載小説でも書いている気分になりそうだね。

藤原 まあそんな感じかもしれないですね。言われてみるとたしかに。

西垣 とりあえず何かやっていたいからやっているって感じですね。

藤原 何か作り出している、吐き出しているって感じが。

西垣 誰かに聞いて欲しいからやってるっていうよりは、曲を作るのがおもしろいからやってるっていう感じですよね。

----ものづくりからくる充実感とか。

藤原 感情の吐露ですね。西垣くんの場合とかも。

----西垣くんは、詞を書いてるってことで、好きな文筆家というと。

西垣 さっきも出ましたが、三島由紀夫は好きです。あと、一番影響を受けているのは、萩原朔太郎っていう詩人です。詩集をいつも読んでいて、暗記するくらい読んでいて、他の詩人の人と比べても、ダントツで好きです。寺山修司の詩集も好きですね。「田園に死す」の詩集とか。

----音楽的にも、志向があって、藤原くんに突っ込みを入れたりするの?

西垣 基本的には、完全分業なのであまり言わないですね。たとえば詞のことを藤原くんが言い出したらキリがないし。言ったこともないし。曲をもらって、ここをこうしたらいいんじゃないかなっていう意見は言いますけど。それが採用になればいいし、採用にならなくても、別にいいし。

----リーダーはどっちなの?

西垣 藤原くんですね。

藤原 スタジオの予約したりとかは僕ですね。

西垣 そういうことじゃなくて、精神的なことでしょ(笑)。まあ僕は音楽の勉強をしたこともないし、バンドをやったこともないので。

----藤原くんは前にバンドをやっていたの?

藤原 大学のときサークルでやってました。大学にいるときに、PAとかやったりして、おもしろいな、と思って。音も録ってみたいな、と思ったので、大学卒業してから、音楽の専門学校に行きました。主に、デジタルの基礎から、レコーディングのことについてですね。ミキシングの技術とかは習わなかったけど、まあそこでも楽しかったですね。勉強しながらだけど、普通に遊んで、バンドもいくつかやって。大学のときはメタラーだったんですけど。とにかくギターを上手く弾きたかったから。メタルとかすごい速くギターを弾くから、そういうのができたら、何でもできるのかな、と思って。それはそれで楽しかったんですけどね(笑)。

西垣 でも今はメタルの色が無いですよね、全然。

藤原 だって、作るものが違うじゃん。

----メタルはギター弾くと誰もが一度は通る道だよね。

藤原 そうですね。単純で大味でわかりやすいんで、聞いててコピーもしやすいし。

西垣 男の子はロックを聴き始めると、パンクかメタルかどっちかでピークを迎えて、その後聞かなくなっちゃいますよね。

藤原 元に戻っていくというか、シンプルになっていったり、ものすごい変な音楽を聞くようになったり、そういう感じですよね。

----音楽的なルーツっていうと?

西垣 音の面でどうこうじゃなくて、姿勢で影響を受けているのは、ポップ・グループというバンドがいて、79年・・・70年代終わりにデビューした人たちなんですけど。僕はすごい好きで、藤原くんに聞いてもらったら、藤原くんも気に入って。それがパンクとファンクと民俗音楽とプログレすべて集めたような。まあ短命なバンドだったんですけど。今日もCD持ってきたんですけど。

----何曲目がいい?

藤原 1曲目ですね。やっぱり 

西垣 この姿勢は非常に共感してます。

<再生中>ポップ・グループ 「シー・イズ・ビヨンド・グッド・アンド・イーヴィル」(「 Y(最後の警告)」より)

藤原 こういう奥まった感じの曲いいですね。

----なんか箱の中みたいですね。

西垣 展開は強引ですね。「西洋の価値観は彼女には通用しない」とか歌っているんですよ。ギターが絡んで、刃物みたいな打撃音がするところはタングステンにやや近いですね。

藤原 これは結構影響を受けた感じですね。

西垣 タングステンは、叫んだり、大声を出したりすることはないです。わかりやすく攻撃的とか、高揚感があるとか、踊れるとか、そういうものではないですね。内側に内側に向かう感じですよね。どちらかというと、静かな。

藤原 静かなる衝動ではないですけど。

----ちょっと「POSITVE NOISE ON THE BASS LINE」を聞いてみますか。


◆POSITVE NOISE ON THE BASS LINE 解説

01 「another girl」

----ホラー映画みたいですね。ワーっと怪物が出てきたような。

藤原 ハッとさせたかったんですよね。この女の子のボーカルも反復しているんですけど、このバンドは反復が多いですね。とにかく反復すると。

西垣 同じ言葉を呪文のように繰り返し続けることで、高揚してくる感じってあるじゃないですか。ある種のミニマルミュージックのような。それを途中から目指すようになりましたね。

藤原 この曲のスネアも結構打撃音が気に入ってるんだけど。

西垣 聞き終わった後に、こんな曲だった、と、鼻歌で歌えるような曲は無いんですけど。あの、1個の言葉とか、1個の旋律とかが、耳に残ればいいな、と思っています。

藤原 ハッとする言葉があればいいな、と。

西垣 あのトラックに、あの声が乗るのは非常に違和感があるじゃないですか。で、違和感て普通と違うから、残ったりするじゃないですか。だからそうなればいいな、と思いますね。

----ニュースキャスターがしゃべってるみたいだよね。

藤原 ソウルセットに影響を受けてるよね。

西垣 10代のときに、ソウルセットと、フィッシュマンズに出会いまして。非常にその二つのバンドには、影響を受けてる。ソウルセットのビッケのボーカルには、近いかもしれない。

<再生中>Tokyo No.1 Soul Set「JIVE MY REVOLVER」(「TRIPLE BARREL」より)

藤原 これたまにスタジオでやるよね(笑)。

西垣 ヒマな時に、藤原くんがギター弾いて僕が歌って、誰にも見せないカバー曲ですよ(笑)

----あー、なるほど、こういう感じね。これを聞くと、こういう曲ってそういえばこういうスタイルってあるなあ、という気もしてくる。

西垣 ソウルセットはとても気持ちよく踊れる感じですよね。クラブ出身の方々みたいなので。タングステンでは今後、歌と言葉がいい感じにからむ曲を作りたいな、と。

藤原 最近ちょっとまた転換期に来ている感じですけど。


02「真空管」

藤原 これは最初から歌を入れようと思って作った曲ですね。変化をつけようという曲は、たいがい歌から入って、流れに引き込んでいくかんじで。

西垣 ゲストボーカルとして歌ってくれた有里湖さんは、このとき妊娠中でした。二人分の魂のこもった歌声です。

----立ちながら歌ってました?

西垣 座ってましたね。

藤原 結構でかかったな。いる!っていうのがわかったもん。

西垣 「あと一ヶ月」とか言ってましたよね。

----その子が生まれてきて、「この曲聴いたことある」とか言ったらおもしろいよね。

西垣 でもおなかの中で聴いているはずなので。もしかしたらその子が一番最初に聴いた音楽になってるかも。だって、外から聞こえる音より、お母さんが歌っている声の方がぜったい聞こえるはずですよね。

藤原 十何年後とかにミュージシャン目指して、その子が曲作ろうとしたら、この曲とサビが一緒だったり。

西垣 何だか申し訳ないですけど、うれしいですね。

----「真空管」というのは、ラジオの真空管じゃなくて。

西垣 真空状態ということですね。あるレズビアンのカップルが付き合い始めて同棲する。初めのうちは幸福なんだけど、だんだん行き詰ってくる。そういう感じです。盛り上がったものが失速して、息が詰まって真空になっていく状態。そういうテーマです。


03 「こだま陽炎」

西垣 このアルバムの中で、最後に出来た曲です。AメロからBメロ、そしてサビで「パッ」と視界が開けるような展開が、気に入っています。

04「cure」

藤原 これは、かなりポップですね。

西垣 このトラックにふつうに歌メロ乗っけてもいいね。一番最初にオケを聴いたとき、ロバート・スミスの「THE CURE」を連想したから、『cure』っていうタイトルにしたんだけど。もしくは、クラッシュとか、オリジナル・パンクスっぽいかんじだね。

藤原 「LONDON CALLING」とか。

西垣 この間奏に入っている奇妙なノイズは、ネタは明かさないですけど、僕の手作りですよね。

藤原 うん、そうだね。

----ボーカルは何重にしているの

西垣 二重ですね。

藤原 この頃は、輪唱ではないですが、ちょっとだけ遅らせて違うことをしゃべらせる、というのがちょっとキテて。

西垣 他にもそういう曲がありましたが、ボツになりましたね。

藤原 まあこの曲でやっちゃってるからいいかな、と思って。

----さっきの映像の話で言うと、早送りの映像が合いそうだね。コマ落としで車が街中をガンガン走って、ときどきスローモーションになるような。

西垣 いいですね。ガーっと走っていって、最後は白いワンピースを着た女の人が家から出てきて、バーンとはねられて終わりとかどうですか。でもその娘は笑っているんですよ。

----いいね。「猫のように笑っている」んだ。

藤原 それはそれで素敵だね。

西垣 そう、「汚れた血」のラストの疾走シーンを思い浮かべてください。

----3人くらいで高速道路をずっと走っている。

西垣 あー、あそこもいいですね。ジュリエット・ビノシュがすごく白くて、「マルク!」とか言ったりしてね。顔に血をつけて。ハンスが上機嫌で「これシート替えたばかりなんだぜ」って。

藤原 アレックスがもう本当に死にそうな顔をしていてね。

西垣 「汚れた血」はいいですね。

----タングステン・ヒューズの音楽性とレオス・カラックスの作家性は似ているかもね。

西垣 僕がこの世で一番好きな映画監督です。10代のときに「汚れた血」を見て、すごく驚いたんですね。

藤原 ある意味一番多感な時期だよね。

西垣 本当に、今までもこれからも、一番好きな映画はあれ一本で、動くことはないと思っています。

----あれも閉じている感じだね。もっと周りと柔軟に接すればいいのに、かたくなになっちゃって。

西垣 何か痛々しいまでの自己愛ですよね。かわいそうな自分が一番好き的な。冒頭で自分の父親が殺されて、「とうとうみなし子さ」と言っているところが、何かうれしそうなんですよね。

----ああ、あるよねそういうの。


05 「水媒花」

----なんか大正時代のホールにいそうな感じだよね。江戸川乱歩の小説に出てきそうな。

藤原 日本的ですね(笑)。

西垣 大正エログロナンセンスとかすごい好きで、竹久夢二とか。水媒花って、花粉が水に流れて、水を媒体に受粉していく花で、そういうイメージですね。

藤原 ふわふわした感じですね。この、女性ボーカルから男性ボーカルに転換する時のダイナミズムは気に入ってますね。


06 「Silence Bass」

藤原 適当にベースを弾いていたら、できちゃった曲。

西垣 他のと比べると、変わってますよね。はじめてメロディに言葉を乗っけた曲です。

藤原 ベースは完全にメロディ持っているし。

西垣 曲も詞も全然似てないんですけど、僕はこの曲をフィッシュマンズの「ウォーキング・イン・ザ・リズム」のタングステン版だと勝手に思っているんです。その曲でも、最後に「ウォーキング・イン・ザ・リズム」というフレーズを何度も繰り返していて、そこがすごく気持ちよかったので。この「Silence Bass」もそういう感じにしたいな、と思って、やってみたんですけど。最初のデモと比べて、女性のコーラスが加わって、ぐっとよくなりましたよね。

藤原 うん、やっぱり色は出るよね。

西垣 こういう具合の曲はその後無いですね。

藤原 そうだね。

西垣 また作りましょう。

----耳に残るよね。

藤原 催眠効果みたいなものを入れたかったかもしれない。

西垣 何回「SilenceBass」って言っているんだか数えたら大変な数ですよ。


07「あだ花」

藤原 右手という単語が良く出てきますよね。

西垣 そういえばそうですね。

藤原 投げかけるよね。「どうなのか?」とか。

西垣 そうですね。自問自答。なんか歌詞に出てくるのは、知り合いだったり、必ず誰かしらのことで。

藤原 常に一人称だよね。まあそのへんがいわゆる1人、孤独、内に向かっていく感じにつながっていくんだよね。

----問いかけは自問自答しているの? それとも誰かに話しかけているの?

西垣 自分に対して聞いているのと、返事がこないのは判っているけど、人に投げかけている感じですかね。
全部誰かのことを言っているんですけど、それが深く関係のある人だったり、ただの知り合いだったり、一回しか会ったことのない人だったり。僕が、その人のことをこういう風に思う、と。

----「あだ花」はギターのリフが印象に残りますね。どこにタイミングをとっているのかよくわからない。

藤原 それがねらいですね。そう感じてもらえれば、してやったりなんだけど。

----浮遊感がありますね。

藤原 耳についてまとわりつくようなかんじ。 

----ステレオで右に行ったり左に行ったりしてそう。

藤原 そうですね。右と左で違うトラックが流れていたり、微妙に違うギターの音が流れていたり。

西垣 藤原くんのギターは、漢字一文字で言うと、「妖」っていう感じですね。

----タイアップするとしたら何がいいかな

西垣 お酒とかどうですかね。

----宝焼酎とか。

西垣 そうですね。ジンロとか。

----そうね。さっきのうるさくなったところから急に静かになったあたりで、「タカラ」とか。

西垣 静かな部屋で、女の人が1人で酒を飲んでて、突然「ワッ」と曲が始まって、人がたくさん入ってきて、部屋が明るくなって、また曲がぱっと切れたら、やっぱり1人で飲んでいた・・・っていう感じですか。

----おもしろそうだね。プロモーションビデオ作りたいね。フィルターとかガンガン使って、何が写っているのかよくわからないかんじで。

藤原 映画で、車に乗っているシーンでラジオから小さい音で流れてたりするのにも合っている気がする。

西垣 今の気分をあらわすのに。

----結構ポップだよね。あやしいと言いながらも。本当に暗い気分にはならない。

藤原 そうですね。どん底まで叩き落すことはないですね。

西垣 まあ僕ら楽しんでやっているんでね。苦しんで辛い気持ちで作っているわけじゃないからですかね。

藤原 初期は叩き落してやろうかという感じだったけど。いつもライブの最後でやってる『東京パルチザン』とか。

西垣 あの曲を聴いた友達が「暗黒青春ロックだ」って言ってたんだけど。

藤原 そうだね。ザクっとしているよね。ザクザクしているかんじ。

----そんなにヒットチャートに上るようなポップな感じじゃないんだけど、ジョン・ゾーンみたいなウワーっていう前衛的な感じじゃなくて。

藤原 そうですね。意外とふつうかも。歌メロとか意識して作るとまた違ってくるかもしれないけど。

西垣 ライブで一番好評な曲ですよね。

藤原 やってるほうも楽しいしね。

08 「刹那 回転 残響音」

藤原 これは、会社辞めてから一発目に作った曲ですね(笑)。

西垣 これができてからガラっと変わりましたよね。「東京パルチザン」ていう曲で、何となく今の感じができて。その後できたこの曲で、すっかり方向性が固まったって感じですね。

藤原 嵐のように語りつくすという。

西垣 そうですね、これは歌詞もすごいボリュームですね。

藤原 トラック自体は、本当にずっと反復している感じですね。

----歌詞を考える時は、どんなことを考えながら書いているの?

西垣 基本的には、映画の雰囲気から取るとこが多いんですけど、絵が浮かぶような。聞いた人に浮かんでほしいってわけじゃなくて、ただ、僕が自己満足的に。日記みたいなものですよね、その時思い浮かんだことを書きとめておく感じで。この曲は特に、塩田明彦監督の「害虫」っていう映画を見ながら書きました。あの映画は何か、隙間が多い映画っていうか、話がめまぐるしく進んでいくような映画ではないじゃないですか。淡々としたシーンで、別のことを考える余裕がありますよね。そのときに、ボヤーっと浮かんだことを書き留めて、こんな感じになりました。「じゃがたら」っていうバンドの江戸アケミさんの歌詞に「思いつくままにしゃべり続けろ」っていうフレーズがあって。その言葉を僕も藤原くんも非常に気に入っていて。歌詞に関しては、常にそれが頭にある。「思いつくままに踊り続けろ」とか、そういうことをずっと言っているんですけど。だから、思いつくままにしゃべり続けないといけない(笑)

----聞いてみようか。

<再生中>じゃがたら 「でも・デモ・DEMO」(「南蛮渡来」より)

----すごい楽しそう(笑)

西垣 何か曲が始まって、どんどん混沌を極めていって、最後はメチャクチャになる感じは、影響を受けてますよね。どんどん高揚していって、いろいろ重なってきて。


09 「バタフライ・ナイフ」

藤原 これももうずっとサンプリングしたコーラスをループしていて。曲の最後までずっと続いているんですよ。トラックに隠れてわからないけど。

西垣 あ、そうなんだ。

----このすごくたくさんコーラスが無差別に重なり合うところが気持ち悪いね。

西垣 気持ち悪い。

藤原 西垣くんが、そういうアレンジにするといいんじゃない?って感じで言ってきて。

西垣 これは、「刹那 回転 残響音」の次に作って。

藤原 この2曲は、トラックも延長線上にあるんですよね。

西垣 ただ、歌詞を書くときに、「刹那 回転 残響音」が、ひたすらしゃべるかんじだったんで、同じようになるのは嫌だな、と思って。サビとそれ以外みたいな感じにしようと思って。Aメロでは声をたくさん重ねる感じで、同じことを繰り返して言って。ほとんど聞き取れないと思うんですけど。4つくらいの言葉を言い続けているだけで。「刹那 回転 残響音」と「バタフライ・ナイフ」で、似てるんだけど違う感じにしたいと思ったんですよね。このベースラインがすごく好きなんですよね。

藤原 最初に言ってたよね。

西垣 最初に、デモを作ったときは、もっとベースラインだけがでかくて突出していて、すごく気に入ってたんです。こっちもこっちでいいんですけどね。


10 「Y」

藤原 耳から離れない感じがするんだけど。

----「Y」というのは、POP GROUPの「最後の警告」ですか。

西垣 「Y」はダメなもの、負のものの総称ですね。

----意外とノリのいい曲が多いね。まったりした曲がなくて、リズムに乗る感じの。

西垣 クラブに行くじゃないですか。フロアが盛り上がります。自分も酔っ払います。でもなんか寂しい気持ちになることってないですか。

----あるね。

西垣 そういう曲です。

----「Y」というのは、ヨッパライの「Y」ですか。

西垣 ちがいます。


11 十六夜

西垣 デモの段階では、ボーカルも入っていたのですが。まあ、いろいろあって、インストになりました。ただ、ボーカルは完全に消されてる訳じゃなくて、よーく耳を澄ますと、微かに聞こえるはずです。


12 tablet drug

西垣 この曲は、不思議と好評なんですよね。友達から、DJに使ってもいいか、とたびたび言われたり。クラブに合う感じなんですかね。でも、こういう方向にはもう行かないですね。


◆感覚を主張したい

----タングステン・ヒューズとして、世の中に訴えたいことはありますか。
西垣 以前、向井秀徳が「感覚を主張したい」と言っていたんですけど、まさにその通りですね。特にメッセージ性とかはなくて。最初はその、切腹だとか、ハラキリズムっていう曲もあって、ちょっとそういう臭いがあったのですが。まあ全部ポーズなんですけど。全然僕らは、そっちの人ではないので(笑)。ただ、いわゆる、よくあるような応援ソングだったり、忌野清志郎さんのような、政治的なメッセージが強いものではなくて。自分らは、今のままで十分満足しています。

藤原 まあそうですね。何やってもいいっていうのはあるし。

----そういう、感覚の主張って、やっぱり既存には無いものだからあえて主張するものなのかな。すでにある音楽とかで、十分足りていれば、自分達でわざわざ作る必要はなくて、いろいろ聞いたことはあるんだけど、そうじゃなくて、もうちょっとこんな感じが気持ちいいんじゃない?って感じで作ったりするのかなあ、って思うんだけど、どうかな。

藤原 感覚的に気持ちいいな、と思えるものを、そのときそのときで作ってますね。なんだろ、良い物を作っている時って身体が熱くなるんだよね。それを楽しんでいるのは、結構あるかもしれない。

西垣 やるにあたって、えらそうな理由は無いですね。本当に、楽しいからやるっていう一言に尽きますね。だから、サーフィン好きだから、毎週末海に行く人と同じじゃないですかね。基本的には。僕らはサーフィンはやらないので、二人でスタジオ行きますよって感じじゃないですかね。

藤原 そうですね。そんなに肩に力を入れてやってるわけじゃないんで(笑)

西垣 時代を変えてやるとか、音楽シーンに衝撃を与えてやるとか、人に評価されたいとか、有名になりたいとか、そういうことじゃないですね。サーフィンやってるからって、プロのサーファーになって、大会で優勝したいって思っている人は居ないじゃないですか。

藤原 一部いるかもしれないけど。

西垣 まあ、一部いるかも知れないですけど。僕の友達のサーファーはそんなこと思ってないみたいなんで(笑)。

----気持ちいいからやってる、と。

西垣 そうですね。あと、何かやってないと、焦るじゃですか。何もしないで会社だけ行って、歳とっちゃうのもつまらないなあ、と。せっかく音楽聞くのが好きなんだから、自分でもやってみよう、って感じですね。

藤原 それが今はたまたま音楽ということですね。

----今まで蓄積してきたものに基づいたステップアップを経て、自分の中でストーリーが作られる感じかな。

西垣 何もしないで止まっている、何もしない状態が嫌ですよね。前にやっていた仕事は、下請けの会社だったので、できあがったものを、右から左に移すだけのような会社でした。で、そこで、何も作っていない感じがして。どうせなら何か作ってみようよ、っていうことでバンドを始めたんですよね。

----プロデビューとかは?

西垣 ガツガツとこれで儲けたり、レコード会社からメジャーデビューとかは、できないでしょうし。普通に考えて、ラジオで流れるような作風でもないし。

----ドイツとか。

西垣 出たよドイツ。来たよ(笑)

藤原 どうもジャーマンだね。

西垣 やっぱジャーマンだよね。これからは。

藤原 素敵だよね。アウトバーンとか。

西垣 日本のインディーズのノイズの方々は、ドイツで評価されているんですよね。

藤原 すごい評価されてるよね。何でドイツなのかなあ?

西垣 テクノ発祥の地ということで。

----いろんな人に言われたの? ドイツじゃない?って。

西垣 何となくそんなイメージありますね。でもどう考えてもまず日本語がわかっていただけないし。まあ、僕らがトラックに合わせてやっているように、ドイツ語でまくしたてているような曲があれば、すごく聞いてみたい。無いと思うけど。

藤原 俺も聞いてみたい。

----ドイツのレーベルに送ってみるといいんじゃないかな(笑)

西垣 どこに送るんですか?(笑) 連絡先がわからないし、マニアックなレーベルだと英語サイトもあるかどうか。まあ、藤原くんはドイツ語ペラペラだから大丈夫ですけど。

藤原 日常会話レベルならね。ダンケ・シェーンとか(笑)


◆群集の中でひとりぼっち

----最近お気に入りのCDは?

藤原 U2の新譜買ったくらい。でもやっぱり初期の3枚にはかなわないのかな、と思いました。

西垣 そういえば盗まれた新譜勝手に発表されませんでしたね。

藤原 そうだね、ただ単に家で聞きたかったんじゃない?

西垣 僕は70年代後期から、80年代前半にかけての NEW WAVE が好きなんだけど、最近もそればかり聞いています。何で好きなのかな、と考えたんですけど。そのころって今の音楽の雛型が出てきた時期で、音が整理されていない感じが好きなのかなのかも。結構音楽的には素人だった人が多いのですが、「新しいことやってやろう」というやる気に満ちた感じが音源からも伝わってきて。生き様が伝わってくる感じが魅力的ですね。タングステン・ヒューズも「新しいことやろう」と思ってはじめたので。

藤原 最近ちょっと落ち着いちゃったけど、この前タングステン結成当時の初期音源を聞いたら、ものすごい衝撃を受けたよね。

西垣 刺々しかったですよね。

藤原 かなり「毒」になっている。「毒にも薬にもならない」じゃなくて、「毒」になってる

西垣 そう。少し前、ある人に「君らの音源にはまだ毒が足りない」と言われたのですが、初期はもっと毒々しかった。

藤原 たしかに突っ走ってる感じはあった。

----じゃ、昔に戻った方がいいってことなのかな。

藤原 いや、そっちを見つめつつ。

西垣 気持ちは昔のまま。質を上げていこう、という感じですよね。

藤原 原点回帰ではないけど、忘れていた何かを、思いだしました。

----初心忘れるべからず。

藤原 まさしくそれかもしれない。

----やっていくうちに、こなれてくるところもあると思うけど。

西垣 なんか整頓されすぎちゃいましたよね。

藤原 最近作っている音源は本当にこなれてきてしまっている感じはありますね。逆に言うと、「薬」になってしまっているというか。

----ライブでタングステンの音楽をすることで、オーディエンスにどうなってほしい? ジャンプしてほしいとか。

西垣 タングステンの音楽は、「他者不在」ですね。オーディエンスの方をまったく見ないし、MCもしない。やりっぱなしですよね。

藤原 まあね。

西垣 酒飲みながら聞いてもらってもいいし。

藤原 普通にリズムに身体揺らしてもらってもいいし。

----じゃ、いくらお金かかっても構わなくて、どこでやってもいいと言われたら、どこでやってみたい? 一番しっくりきそうなところは?

西垣 まあライブハウスですね。

藤原 うん、ストリートってことはないし。

西垣 クラブで、ターンテーブルの前でやるのも楽しいし。

藤原 まあ、居酒屋でやって、ものすごく多くの人を酔わせたりできたら、してやったりかな、と(笑)。聞き込ませたら勝ちかな、と。目を点にさせて。「びくっ」と。「ううううっ」というかんじ

----あまりこれをみんなが合唱するところは思い浮かばないですね。

藤原 そうですね。

----でもノッたりしていることはあるかもね。

藤原 スキャンダラスなVJが合うんじゃないかと言われたね。

----今後タングステン・ヒューズをひとつの商品としていく上で、どんな特徴をもったものとして売り出していくといいかな。こんな特効薬です、とか。坂本龍一だったら癒されますよ、とか、スマップだったら元気になるよ、というのだと、タングステンだと、目が点になる?

藤原 ある意味、聞くものを圧倒する。そこにあるのは不安かもしれないし。自分の殻にもっと閉じこもっちゃうような感じでもある。

----それは、あれですか。最近NEETとかが増加している現代社会の病理を反映させたものですか(笑)

藤原 NEETとはたぶん関係ないと思うんだけど(笑)

西垣 内側に向いているんですけど。一人の世界の中での孤独ではなくて、群集の中でひとりぼっちっていう。友達がいないから一人ぼっちなんじゃなくて、友達がいても一人ぼっちとか、そういう感じですね。部屋に閉じこもっているんじゃなくて、いつも外を出歩いているんだけど、ひとりぼっちっていう。

----都会的なんだ

西垣 そうですね。

藤原 まあ一人ぼっちっていうのはそうだね。それでいることにドキドキしているような感じはあるな。なんかそういうときの妙な高揚感に似ているかな、と思います。

----1人でいることを楽しんでいる・・・でもタングステンは2人だよね。2人で1人のありようを出している感じなのかな。

西垣 一蓮托生ですよね。僕ら2人。

藤原 まあそうだけど

◆恋人と部屋を真っ暗にして聞いてください

----いろんな人に聞いてもらえるといいですね。

西垣 「真夜中の公園で1人で聞いてください。タングステン・ヒューズ」

----それがキャッチコピーなんだ。

西垣 もしくは、「恋人と部屋を真っ暗にして聞いてください。」

藤原 月の灯りだけでね。


(2004-2005年のインタビューを再構成。聞き手:知識)

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